プレートテクトニクスとマントル対流
1. 地球表面を覆うプレート
大地は人間が生きているような時間の長さでは,全く動かない物のように見える.ところが,移動するプレートのぶつかり合いによって大きな地震が起きるというのはどこかで聞いたことがあるだろう.地球の表面は,十数枚の固い岩盤で覆われている (
文献1
).その分布は
図1
のようになっている (注1). この岩盤はそれぞれ一体となって動いている.この動く岩盤のことを
プレート
と呼んでいる.プレートの運動は地震だけでなく,大陸の移動,火山の分布,地殻変動など多くの現象を説明できる.固体地球が起こす様々な現象をプレートの運動により統一的に説明する理論を
プレートテクトニクス
と呼ぶ.
プレートは動くため,すれ違いやぶつかり合いが起きる場所ができる.このような場所はプレート境界と呼ばれる.プレート境界には,3つの種類がある (
図2
). それは,プレートが離れていく
中央海嶺
,すれ違い運動が起きる
トランスフォーム断層
,ぶつかり合って片方のプレートがもう片方のプレートの下に潜り込む
沈み込み帯
である.プレート境界では岩盤に歪みがたまり,その反発力によって地震が起きるのである.特に2つのプレートがぶつかり合う沈み込み帯で,地震がたくさん発生し,災害をもたらす巨大な地震も起こる.日本はちょうど,沈み込み帯に位置している.東日本では,太平洋プレートが,西日本ではフィリピン海プレートが日本列島の地下に潜り込んでいる.高校地学の教科書では,日本列島のうち,東日本は北米プレートの上に,西日本はユーラシアプレートの上にあるとされている.ところが,図 1では,南北海道から関東まではユーラシアプレートの上にあるように書かれている.なぜこのようなことがあるのかは別欄 (注2) に書いておいたので,興味のある方はそちらを読んで欲しい.
ところで,皆さんは,プレートがどうして動くのかを考えたことはあるだろうか.また,そもそもプレートとは何であろうか?ここでは,プレートとは何か,プレートが動くのはどのような仕組みなのかについて考えてみよう.
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(注1) プレート境界のデータはNUVEL-1モデルによる (
文献2
).ただし,プレート境界には,よく分かっていない場所がある(図3参照).赤矢印は中央海嶺,緑はトランスフォーム断層,青は沈み込み帯を表す.
(注2) 長いので
別ページ
とした.
図1: 地球を覆う主なプレートとその境界 (クリックで拡大します・PDFは
こちら
)
(NNR-NUVEL-1モデル (
文献A1
) による
プレート運動速度の図
・PDFは
こちら
)
図2: プレート運動とプレート境界の模式図
(クリックで拡大します・PDFは
こちら
)