図3.スラブの温度が相変化の深さへ与える影響
地球内部の圧力は非常に高いので、マントルを構成する鉱物は地表付近と同じ結晶構造では安定せず、より原子の詰まった密な結晶構造に変化します。マントルを構成するかんらん岩は、おおざっぱに見て、約6割がかんらん石、約4割が輝石という鉱物から出来ています。このうち、かんらん石は410km、520km、660kmの圧力で相変化の起こしています。中でも、660km境界がマントル対流に最も重要な影響を与えます。この図はある温度と圧力に対して、上部マントルの鉱物となるか、下部マントルの鉱物になるか、模式図を表しています。660km相変化のみを書いています。このとき、境界の傾きが右下がり、つまり勾配が負になっていることに注意してください。このことから、温度が低いほど高圧側に相変化の境界が移動します。よって、マントルの平均温度(実線)よりも冷たいスラブ(点線)が衝突すると、境界がへこみます。へこんだところは、へこんでいない周囲より密度が低く軽いので、浮力を発生します。また、410kmと520kmの境界は右上がり(勾配が正)になりますので、低温ほど相変化面が上に持ち上がります。このため、スラブを下に引き込む力としてはたらき、沈み込みを妨げません。
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コンピュータでメガリスを作る〜沈み込んだプレートの行方を探る