プレートテクトニクスの成因
図:自発的なプレート運動が起きるマントル対流モデル
プレートの運動は地球型惑星の中で地球だけに見られる現象である.その成因として,水の作用がよく原因として挙げられる.水の働きには,プレート境界の潤滑,プレート強度の低下,アセノスフェアの粘性率の低下が考えられるが,これらのうち,プレート運動を作るのに最も重要な効果持つ作用は何であろうか?本研究では,上の3つの効果について数値シミュレーションを用いて定量的な見積もりを行った.それによると,最も重要な効果はプレート境界の潤滑であり, プレート強度の低下はあまり重要でなく,硬いプレートでもプレート運動が起きることが分かった.また,アセノスフェアの粘性率の低下は,運動しているプレートに対する抵抗を小さくするだけでなく,プレート下のマントル対流の水平スケールを大きくして,プレートを動かし始めるときに必要な引きずりの力(マントル・ドラッグ力)を増加させる働きがあることが分かった.
 
関連論文
 
T. Nakakuki, C. Hamada and M. Tagawa (2008) Generation and driving forces of plate-like motion and asymmetric subduction in dynamical models of an integrated mantle-lithosphere system, Phys. Earth Planet. Inter. 166, 128-146. [doi:10.1016/j.pepi.2007.12.004]
 
M. Tagawa, T. Nakakuki, M. Kameyama and F. Tajima (2007) Role of history-dependent rheology in plate boundary lubrication of generating one-sided subduction, Pure Appl. Geophys., 164, 5, 879-907, DOI 10.1007/s00024-007-0197-4.
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doi:10.1007/s00024-007-0197-4]
 
「プレートテクトニクスとマントル対流」 
 
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